SIN@SAPPOROWORKSの覚書

C#を中心に、夜な夜な試行錯誤したコードの記録です。

モデムカードの分解

1.一枚50円

今は懐かしい、Cバスのモデムカードを入手しました。
店頭では1枚500円という値札が貼られてましたが、山済みされたカードを4枚持ってきて頼んでみると、1枚で50円という破格(?)になりました。 少し、リレーの色や部品の型番に違いがありますが、4枚ともほとんど同じでした。

2.モデムデバイス


モデムカードの中心は【RCV336ACF ROCKWELLのモデムデバイス】 です。 この石を中心に、下部がアンプ、上部がメモリ、左手がNCUという感じでしょうか。RCV336ACF/SVDの右には、52.416Hzの水晶発信器も配置されています。
バス側は、B22,23の+12Vに、いきなり 【78N05 レギュレータ】 が接続されており、ボード全部が5V単一電源で動作しているようです。メモリ部では、次のようなICが見つけられました。
2線式シリアルEEPROM 【AT24C02 2Wire Serial EEPROM】 【93C56 EEPメモリ】
SRAM 【N341256SJ CMOS SRAM
EPROM【AT17C010 1M bit EPROM】


3.入力の初段にはコイルとバリスタ

カードの外側には、「TEL」(写真左手)と「LINE」(右手)の2つのコネクタがありますが、そこから追いかけると最初に配置されているのは、ノイズ防止のために直列に配置されているコイルと回路に対して並列やアースに落とす感じでバリスタが配置されています。いろんな基板を見ても、電話回路の入力部分には、必ず同じような部品配置を見ることが出来ます。

手前に見えている白いトランスは、モデム本体と回線を音声結合しているものです。
データシートを見ると抵抗は150ΩでスピードはV.34用となっていました。【音声データカップリングトランスフォーマ PM-MC03】

4.フォトカプラ(電流・電圧検出)

基板では、リレーの横に綺麗に2つ並んでいるフォトカプラが結構気になります。 手前が【2505L AC入力対応マルチフォトカプラ】 で、左手に見えているオレンジと赤色の【VR-61SSシリコンバリスタ】 と共に回路に直列に接続され、電流検出回路となっています。オフフックで流れる電流を検出します。
奥に見えているフォトカプラは同じく【2501L 高コレクタ耐圧マルチフォトカプラ】 です。回路に直列に接続されており、着信検出回路を形成しています。
ちなみに、2つの真っ赤なリレーは、通信機器などの信号切替え用で消費電力の無極小型リレー 【MR82 NEC TOKIN MR82 シリーズ】 です。

5.AC対応のフォトリレー


カードの右端で、リレーの影にひっそり隠れているのは、AC回路もスイッチできるフォトリレーです。【OKI OCMS246 General-purpose Type Optical MOS Relay For AC_DC Load】
モデムカード上では、電話回路のオンフック・オフフックをこのリレーで行い、ダイアルパルスを切るのでは無いかと思います。データシートの図を見るとAC回路でもDC回路でもスイッチできる事がよく分かります。

6.LM317

一見するとレギュレータらしくないSOP8ピンですが、立派にレギュレータのようです。【LM317LM 3端子可変調整レギュレータ】ここでは、カレントミラーで23.5mAの低電流回路として使用されています。
※R1には「510」51Ωのチップ抵抗が使用されているのを見ることができます。

7.NCU部の回路図


比較的部品が大きく、基板が表裏だけだったので、電話及びライン側からNCU部の回路を追いかけて見ました。だいたい合っていると思います。

分解の結果、ほんとに自己満足ですが・・・ノイズ雑音除去・着信信号検出・オフフック検出・直流ループ形成・ダイアルパルス発生など電話・モデムを構成する主要な回路がよく理解できたような気がしました。(気がしただけ)


参考文献
トランジスタ技術SPECIAL No.8 データ通信技術のすべて
トランジスタ技術SPECIAL No.51 データ通信技術基礎講座